こんにちは。のじま行政書士事務所の野嶌(のじま)です。
今日は前回の続きで「相続と登記」についてのお話です。
1 相続放棄と登記
相続の放棄は、登記等の有無を問わず、何人に対しても、その効力を生じます。
たとえば、共同相続人の1人であるAの債権者Bが、相続財産である不動産について、Aも共同相続したものとして、代位により、相続による所有権移転登記をした上で、Aの持分に対する差押えの登記をしたとします。しかし、Aが相続を放棄していたときは、他の相続人Cは、相続放棄による持分の取得を債権者Bに対して対抗することができます。
上記の理由として次の①~③があげられます。
①相続の放棄は、相続資格の喪失であり、民法はその効果に絶対的な遡及効を与えている。
②相続放棄の有無は家庭裁判所で調査することができる。
③相続放棄があっても、他の相続人間で遺産分割協議をするまでは、相続財産の帰属が終局的に確定するのではないから、相続人に登記を要求するのは酷である。
2 遺産分割と登記
不動産に対する共有持分の遺産分割協議をした場合、分割により相続分と異なる権利を取得した相続人は、その旨の登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができません。
たとえば、相続財産である不動産について、それぞれ法定相続分である持分2分の1ずつAとBによる相続登記がされた後、Aが遺産分割により、当該不動産について単独の所有権を取得した場合であっても、その遺産分割のよる持分移転の登記を経由していなければ、その後、遺産分割により権利を失ったBが第三者Cに持分2分の1を譲渡してその登記をしたときは、Aは遺産分割による権利全部の取得を対抗することができません。その理由として次の①~③がある。
①遺産分割は遡及効を有する(民909条本文)が、遺産は、相続開始によっていったん相続人の共有となったものが、分割協議を経て、各相続人に最終的に帰属するのであり、第三者からみれば、相続人が分割時に新たに権利を取得したものと実質上異ならない。
②遺産分割の有無は第三者には知り得ない。
③遺産分割によって終局的に相続財産の帰属が決定するのであるから、相続人に登記を要求しても酷ではない。
今日のお話はここまで。
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