こんにちは。八王子市の行政書士 野嶌孝文(のじまたかふみ)です。
今日の東京地方はすごく良い天気になりました。まだだいぶ雪が残っていますが。
さて、今日は養子縁組が無効になる場合や取消しについて勉強します。
1 縁組の無効
(1)縁組意思の不存在
人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないときは縁組は無効となります。人違いとは、相手方の同一性を誤ることをいいます。
(2)縁組届出がないこと
縁組届出がないときは、縁組は成立しません。
(3)縁組無効の効果
縁組が無効である場合には、はじめから何の縁組の効力も生じないことになります。
2 縁組の取消し
(1)総論
縁組は、下記の①~⑦の規定によらなければ取り消すことができません。
(2)取消原因
①養親が未成年者である場合(民法804条)
養親が未成年者である縁組は、養親又はその法定代理人から(養子は含まれない)、その取消しを家庭裁判所に請求することができます。ただし、養親が、成年に達した後6か月を経過するか、または追認をしたときは取消しを請求できなません。
②尊属又は年長者を養子にした場合(民法805条)
尊属又は年長者を養子にした縁組は、各当事者又はその親族から、その取消しを家庭裁判所に請求することができます。
③家庭裁判所の許可なく被後見人を養子とした場合(民法806条)
家庭裁判所の許可なく後見人が被後見人を養子とした縁組は、養子又はその実方の親族から、その取消しを家庭裁判所に請求することができます。ただし、後見人としての業務(管理の計算)が終わった後、養子が追認をしたとき、又は6か月を経過したときは、その後は取消しを請求できません。
④配偶者の同意を得ずに養子縁組をした場合(民法806条の2)
配偶者の同意を得ずにした縁組は、縁組の同意をしていない者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができます。ただし、その者が、縁組の事実を知った後6か月を経過するか、または追認をしたときは、その後は取消しを請求できません。
⑤監護者の同意を得ないで縁組した場合(民法806条の3)
監護者の同意を得ずにした縁組は、縁組の同意をしていない者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができます。ただし、①縁組の同意をしていない者が追認をしたとき、②養子が15歳に達した後6か月を経過するか、または追認をしたときは、その後は取消しを請求できません。
⑥家庭裁判所の許可を得ずに未成年者を養子とした場合(民法807条)
家庭裁判所の許可を得ずに未成年者を養子とした縁組は、養子、その実方の親族または養子に代わって縁組の承諾をした者(養親は含まれない)から、その取消しを家庭裁判所に請求することができます。ただし、養子が、成年に達した後6か月を経過するか、または追認をしたときは、その後は取消しを請求できません。
⑦詐欺又は強迫によって縁組をした場合(民法808条1項、747条)
詐欺又は強迫によって縁組をした者は、その取消しを家庭裁判所に請求することができます。ただし、取消権者が、詐欺を発見した後、または強迫を免れた後に6か月を経過するか、または追認した場合には、その後は取消しを請求できません。
3 取消しの効果
(1)縁組の取消しは、将来に向かって効力を生じます(不遡及効)。
(2)財産の返還
縁組が取り消された場合には、縁組によって得た財産は返還しなければなりません。返還の範囲については、取消原因について善意(違反を知らずに縁組をした)であるか悪意(知っていて縁組をした)であるかによって区別されます。
①善意の場合
現に残っている利益の範囲で返還しなければならない。
②悪意の場合
縁組によって得た利益の全部を返還し、なお、相手方が善意であるときは、損害の賠償をしなければならない。
(3)復氏
縁組が取り消されると、養子は縁組前の氏にもどります。
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