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2016.3.17相続の承認及び放棄について

こんにちは。八王子市の行政書士の野嶌孝文(のじまたかふみ)です。

今日の八王子は温かく気持ちのいい天気になりました。もう春も間近です。

さて今日は、相続の「承認」や「放棄」について書いてみました。

 

1 相続の承認及び放棄とはなにか

 相続人は、相続開始と同時に被相続人の権利義務を包括的に承継するものですが、相続するかしないかの選択の自由を与えられています。すなわち、相続人は、相続をする(承認)することも、相続をしない(放棄)ことも自由に選択できるのです。なお、承認には「単純承認」と「限定承認」があります。相続の承認・放棄には財産上の行為能力が要求されます。

 

2 承認及び放棄をなすべき期間

(1) 原則

 相続人は、自己のために相続の開始があったことを「知った時」から3か月以内に、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければなりません。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において、これを伸長することができます(民法915条1項)。「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、相続人が相続開始の原因たる事実の発生を知り、かつそのために自己が相続人となったことを覚知した時です。相続人が複数人いる場合には、「3か月」の期間は、相続人がそれぞれ自己のために相続の開始があったことを知った時から別々に進行します。

 

<参考>

 相続開始前は相続放棄をすることができません。
→ 「遺留分」の放棄は相続開始前でも、家庭裁判所の許可を受ければすることができます。

 

(2) 例外

①相続人が承認又は放棄しないで死亡した場合

 相続人が承認又は放棄をしないで死亡したときは、「3か月」の期間は、その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算します。たとえば、甲が死亡しその相続人が乙で、乙が相続の開始を知ってから3か月を経過する前で相続の承認又は放棄をしないでいるうちに死亡した場合、その相続人が丙であったときは、丙は被相続人甲についての相続(第1の相続)の承認又は放棄と、被相続人乙についての相続(第2の相続)の承認又は放棄をしなければなりませんが、第1の相続について、乙が自己のために相続が開始したことを知った時から3か月以内に承認又は放棄をしなければならないとすると、期間が短すぎることもあります。そこで、第1の相続についても、丙が自己のために相続が開始したことを知ってから3か月以内に承認又は放棄をすればよいものとされています。

 なお、 第1の相続と第2の相続をともに承認又は放棄すること、あるいは、第1の相続 を放棄して、第2の相続を承認することは、いずれも可能ですが、第1の相続を承認して、第2の相続を放棄することはできません。なぜなら、第2の相続を放棄した場合には、第1の相続について相続人たる地位を承継しないからです。

   相続承認及び放棄

乙が①の相続につき相続の承認も放棄もしないまま死亡

ア)丙が乙の相続(②の相続)につき相続放棄
  →丙は①の相続につき相続の承認・放棄不可  →①の相続については次順位者が相続人となる

イ)丙が①の相続につき相続放棄
  →②の相続につき相続の承認・放棄可

 

(2)相続人が未成年者又は成年被後見人である場合
 相続人が未成年者又は成年被後見人であるときは、3か月の期間は、その法定代理人が未成年者又は成年被後見人のために相続の開始があったことを知った時から起算します。

 

3 承認及び放棄の撤回・取消し

(1) 撤回

 承認及び放棄をすると、その後は「3か月」の期間内でも撤回することができません。

(2) 取消し

 相続の承認又は放棄が、制限行為能力や詐欺強迫など取消事由がある場合には、取り消すことができます。取消しの対象が限定承認又は放棄であるときは、その旨を家庭裁判所に申述しなければなりません。また、この場合の取消権は、追認をすることができる時から6か月間これを行わないとき、又は、承認又は放棄の時から10年を経過したときは時効によって消滅します。

 

<参考>

相続放棄の申述受理審判後であっても、相続放棄について錯誤などの無効原因があれば訴訟で争うことができるとされています。

 

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