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2016.1.15非嫡出子について

こんにちは。八王子市の行政書士 野嶌孝文(のじまたかふみ)です。

 

1 非嫡出子とはなにか

 非嫡出子とは、婚姻関係にない男女から生まれた子です。

 

2 認知

(1)認知とはなにか
 認知とは、非嫡出子と父との間に、意思表示又は裁判によって親子関係を生じさせる制度です。

参考《非嫡出子と母》

 非嫡出子と母の親子関係は、原則として、認知をしなくても生じます。母子関係は分娩という自然的事実によってその親子関係が客観的に明らかであるからです。しかし、例外的に、棄児(捨て子)のように、もともと母が不明であった子については、後日母が認知することは考えられます。

 

(2)任意認知
 非嫡出子は父又は母が認知することができます。認知される子の意思は原則として問いません。しかし、子その他の利害関係人は、認知に対して反対の事実を主張することができます。

①認知能力
 父又は母が未成年者又は成年被後見人であっても、認知するには、法定代理人の同意は要しません。

②成年の子の認知
 成年に達している子を認知する場合は、その者の承諾がなければ、認知することができません。未成年の子を認知せずに放置し、成年に達した後に認知して、自身に対する扶養を求めるといった勝手を許さないためです。なお、成年には婚姻による成年擬制(未成年が婚姻すると成年として扱われる)も含まれます。

③胎児の認知
 父は、胎内に在る子でも認知することができますが、この場合には、母の承諾を得なければなりません。

④死亡した子の認知

 父又は母は、死亡した子でも認知することができますが、その死亡した子に直系卑属(子供や孫)があるときに限り認知することができます。この場合において、その直系卑属が成年者であるときは、その者の承諾を得なければなりません。死亡した子に直系卑属がいない場合、認知した父が死亡した子の相続人としての利益を得るだけなので認知できないことになっています。

⑤認知の方式
 認知は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによってします。届出が効力要件となります。

認知届出以外の届出であっても認知の効力が生じる場合があります。たとえば、父が妻以外の子を妻との嫡出子として行った出生届は、嫡出子出生届としては効力を有しませんが、認知としての効力が生じるとされています。
 また、認知は遺言によってもすることができます。遺言による認知は遺言の効力が生じた時、すなわち、遺言者が死亡した時に生じます。

 

⑥認知の取消し
 一度した認知は、取り消すことができません。

なお、遺言による認知の場合には、遺言者は、いつでも遺言の方式に従って認知遺言の撤回をすることができます。

 

(3)認知の訴え(強制認知)
 父が任意認知をしない場合、子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができます。法定代理人は子が意思能力を有する場合にも、訴えを提起することができるとされています。また、直系卑属は、子の死亡後に限り訴えの提起をすることができます。
 認知の訴えは、父が死亡したときは死亡の日から3年を経過すると訴えを提起することができなくなります。父死亡後の認知の訴えは検察官を被告として訴えを提起します。

 

(4)認知の効果
 認知によって、法律上の親子関係が生じ、その効力は出生の時にさかのぼります。

 

①認知と親権
 原則として、父が認知しても、母が親権を行使します。しかし、父母の協議で父を親権者とすることができます。

②認知と氏

 原則として、父が認知しても、子は従前どおり母の氏を称しますが、家庭裁判所の許可を得て届け出ることによって父の氏を称することもできます。

③認知と相続

 認知によって子としての身分を取得するので、父の死亡について相続権を取得しますが、他の共同相続人が既に遺産の分割をした後に認知によって相続人となった場合(父死亡後の認知の訴えの場合)には、遺産分割のやり直しを請求することはできず、価額のみによる支払いの請求をすることができます。

認知の図

①A死亡

②BC間で遺産分割

③Dが認知の訴えで勝訴

DはBC間の遺産分割のやり直し請求は不可、価額による支払請求

〈比較〉

②と③の順序が逆だった場合 → 遺産分割は無効

 

参考《死後懐胎子からの認知請求》

 父の死亡後に、冷凍精子を使用した人口生殖技術により懐胎出生した子(以下、死後懐胎子という)について、母が、当該子と父との間に法律上の父子関係があると主張して認知の訴えを提起した場合に、これを認容する余地があるかどうかについて、肯定する立場と、否定する立場があります。最高裁判所は、「このような両者の間に親子関係を認めるか否か、認めるとした場合の要件や効果を定める立法によって解決されるべき問題であり、そのような立法がない以上、死後懐胎子と死亡した父との間の法律上の親子関係の形成は認められない」としました。

 

 

 

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