新着情報

2016.1.29子の財産に関する親権者の権利義務

こんにちは。八王子市の行政書士 野嶌孝文(のじまたかふみ)です。

今日の東京地方はどんよりとして雪になりそうな天気ですね。

 

さて、今日は子の財産に関する親の権利義務について勉強します。

 

1 財産管理権と代理権

 親権を行う者は、子の財産を管理し、また、その財産に関する法律行為についてその子を代表します。ただし、その子自身の行為を必要とする債務の場合には、本人の同意を得なければなりません(たとえば、子を労務者とする雇用契約など)。

 

2 親権者の一方が共同名義でした行為

 父母が共同して親権を行う場合において、父母の一方が、共同の名義で、子に代わって法律行為をし、又は子がこれをすることに同意したときは、その行為は、他の一方の意思に反したときでも、その効力を妨げられない。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない(民825条本文)。

 

3 親権者の注意義務

 親権を行う者は、自己のためにするのと同一の注意をもって、その管理権を行わなければならない(民法827条)。

 

4 親権者と子の利益相反行為

 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、父母は代理や同意をすることができず、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません。また、子が複数いる場合に、その1人と他の子との利益が相反する行為については、どちらか一方のために、特別代理人の選任を請求する必要がありまあす。

 

5 特別代理人の選任が必要な場合

①父がその親権に服する子の所有する土地を購入する場合は、売買価格が相当であっても、利益相反行為に当たるため、子のために特別代理人の選任を必要とし、その場合、母と特別代理人が共同して子を代理し、父と売買契約を締結することになります。

親子の利益相反の図

AC間で売買  ⇒ 利益相反になる

⇒特別代理人の選任申立

⇒Xが選任

⇒売主代理人X及びBと買主Aで契約する

 

②父が死亡し母と数人の未成年である子とで遺産分割協議をする場合には、母と数人の未成年である子との間は利益相反になるため、数人の子のためにそれぞれ特別代理人の選任を必要とします。

親子の利益相反の図1

Aが死亡

⇒相続人はBCDE

⇒産分割協議の際はCDEそれぞれに特別代理人を選任する

〈比較〉

Bが相続放棄した場合

⇒Bは相続人ではなくなるのでCDEいずれか1人の法定代理人として遺産分割協議をすること可

 

③2人の未成年の子の間で売買契約を締結する場合には、一方については親権者が代理し、他方について特別代理人の選任を必要とします。

 

④親権者が他人から金銭を借り入れるに当たり、親権者とその子が連帯債務者となり、子の不動産に抵当権を設定する場合は、特別代理人の選任を必要とします。

 

⑤父の死亡に際して、母が自らは相続の放棄をしないで、未成年の子の相続を放棄するには、特別代理人の選任を必要とします。

(母自らが相続を放棄をした後(又は同時)に、子の相続を放棄したときは、利益相反にあたらない。)

 

⑥第三者の金銭債務について、親権者が自ら連帯保証をするとともに、子の代理人としてした連帯保証債務負担行為及び抵当権設定行為は利益相反行為当たるので、特別代理人の選任を必要とします。

 

⑦父の債務について未成年の子を保証人にすることは、親権者と子との間の利益相反行為となり、特別代理人の選任を必要としますます。なお、特別代理人の選任せずに親権者が未成年の子を代理してした行為は、「無権代理行為」になり原則無効ですが、子が成年に達した後に追認をすれば有効とされます。

 

6 特別代理人の選任が不要な場合

①親権者が未成年の子と共有する土地を、未成年の子に代わって自己の持分とともに他に売却する場合。

②親権者が未成年の子に負担のつかない贈与をする場合。

③第三者の債務を担保するため、親権者が未成年の子を代理して子の不動産に抵当権を設定する場合。

④親権者が子を代理して、子と共同で合名会社を設立する場合。

 

参考1《親権者が子を代理する権限を濫用した場合》

 親権者が子を代理する権限を濫用して法律行為をした場合に、その行為の相手方が濫用の事実を知り又は知ることができたときは、民法93条ただし書の類推適用により、その行為の効果は子に及ばない(最判平4.12.10)。しかし、親権者の代理行為は利益相反行為に該当しない限り広範な裁量に委ねられるため、親権者に子を代理する権限を与えた法の趣旨に著しく反すると認められる特段の事情が存しない限り、代理権の濫用には当たらない。

 

参考2《民法826条違反行為の効果》

 親権者と子の利益相反行為について、親権者が子の法定代理人として行った行為は、民法113条の無権代理行為にあたる(最判昭46.4.20)。この場合、成年に達した子が追認をすれば、その行為の成立の時にさかのぼって効力を生ずる。

 

八王子 相続 相談

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
八王子 相続相談出張センター
https://souzokusoudan-center.com/sp/
〒192−0051 東京都八王子市元本郷町4−4−24
042−686−0323
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

一覧に戻る
お気軽にご相談ください 0120-114-669

ページトップへ